企業対談 vol.06「紙とインク、印刷の世界」
墨田区に印刷工場を持つ サンコーの有薗さん・荒木さん、大東印刷の中島さん・杉野さん、望月印刷の田中さん・白井さん、の三社六名に対談をさせていただきました。
紙にインキを載せ、印刷することの中にもさまざまな特徴があり、それぞれの企業の方が話す印刷に対する想いやこぼれ話を聞くことができました。
印刷会社の特徴や製造製品を伺えますか?
大東印刷:中島印刷会社の特徴というものはとても難しく、そもそも自社製品を持っていない場合が多いです。今回の三社とも商業印刷に属すると思うのですが、商業印刷ではお客様から注文が来て、はじめて商品を作ることができます。そのため一点一点が全部違う物なのです。紙にインキを乗せたものであれば何でも作れますというのが特徴なのではないかと思います。
サンコー:有薗簡単に言うと大きい機械を持っている二社さんと、その半分のサイズを持っている私たちのように、持っている機械が違います。大きい機械だと大量に刷るときに効率が良かったりとか、小さい機械だとチラシなどの少量の印刷に向いていたりなどの特徴があります。
望月印刷:田中菊全という機械はA型の紙の印刷機で、四六全という機械はB型の紙の印刷機です。実はAサイズとBサイズで機械も分かれているんですよ。四六全が一番大きい機械ですね。
有薗一番値段が高い機械ですね(笑)
中島紙にインキを載せるという部分では3社共通で同じことだと思います。自分の所でどのようなサイズができるか、何色刷れるかなどが変わってきますが、入り口と出口の部分以外の中身の内容は似ていると思います。
デジタル化が進み、紙からウェブなどに移行してきた分、印刷することに対しての付加価値が上がってきていると思うのですが、どう思いますか?
田中最近では個人の方が、ペットの写真集などを作ったりすることなどもできています。それはデジタル化の恩恵を受けていることもありますが、手軽に行うことができているのは技術のおかげでもありますね。オンデマンド化によって無駄もなくなりました。
中島デジタル化によってデジタルプリンターでも作ることができるなど、今まで自分たちで作ることができなかった人たちへ裾野が広がったと思います。
有薗印刷には三つの流れがあると思います。一般的に大量に刷る印刷物に関してはプリントパックなどの出現によって、価値が昔と大きく変わってきていると思います。二つ目は、今までの印刷は版を作って印刷をしていたため、一枚一枚別々のものが作れませんでした。しかし技術によって一枚一枚違うものを刷れるようになりました。ウェブアルバムを刷りだして紙に落とすなど、データと紙を結び付けられるようになっています。これはこれからも盛り上がっていくのではないかと思います。
三つ目は、印刷のやり方自体にこだわる、アートに近い印刷物です。僕はこの価値を高めていきたい。モニターは映す環境によって見え方は変わるけど、紙なら全て同じクオリティを担保できる。だからこそ、紙にしか表現できない質の高いものをクリエイターさんと追及していきたい思っています。
これは辛かった、楽しかったなど、印象に残った仕事はありますか?
サンコー:荒木10年以上前の話になってしまうのですが、あるスポーツメーカーのロゴを印刷した入場者に配る1万枚のナンバリングした番号札が色化けしてしまって、本来赤であるはずのロゴが黒になってしまい、作り直すということがありました。これは今でも覚えています。
中島お客様からお願いされたものを作るので感謝してもらうことが多いです。喜んでいただけることはうれしいですね。
有薗デザイナーさんが作ったものが印刷できて当たり前の世界なので、印象に残ったことを思い返すと辛いことばかり思い出すのは、この業種の特徴かもしれないですね(笑)
望月印刷:白井あとは新しい機械が入ってくると楽しいですね(笑)
取材担当者より一言
生活の中で当たり前のように触れてきた印刷物にも、それを作っている人がいて、想いがあることを改めて実感しました。様々なお話を聞くことができ、とても楽しかったです。
取材担当:齋藤 匠(高千穂大学)
記事:齋藤 匠(高千穂大学)
企業担当:齋藤 匠(高千穂大学)
取材:齋藤 匠(高千穂大学)・貝塚高士(スミファ実行委員)