企業対談 vol.05「美しいばかりじゃない、硝子の話」
実はすみだは、日本の硝子産業の中心地。日々たくさんの工場が、美しい硝子を盛んにうみ出しています。
しかし、美しい硝子がうまれている背景には、それだけの苦労もありそうです。
ちいさな硝子の本の博物館の村松さん。
硝子企画舎の井上さん。
岩澤硝子の岩澤さん。
すみだの硝子産業を支える3人が、硝子づくりの難しさと面白さ、すみだの魅力について、キラキラと語ってくださいました。
なぜ“スミダ”で“硝子”を?
ちいさな硝子の本の博物館:村松それは、墨田区外からいらっしゃった、井上さんのお話が一番気になりますね
硝子企画舎:井上そうですねぇ(笑)
実家が滋賀で硝子製造業をやっていました。兄弟で自分だけ製造業ではなくガラス工芸の道に進んだので、店を持つなら硝子の中心地のひとつである墨田で仕事をしたいと思ったからかな。
村松私は、父が松徳硝子というガラス工場を経営してまして、そこでは昭和の終わりころまで色ガラスをお土産屋さん向けなどに作っていました。
その時の物が倉庫に残っており、売れないかな、と考えていた時に、いい物件をスカイツリー、
浅草周辺に見つけたと言われ、面白そうだと思い、そこで店をやることを引き受けましたね。
岩澤硝子:岩澤うちも創立して98年ほどになる会社なんですけど、元々は江東区でレンズなどを作っていました。戦時中、10社位が集まって企業合同の形をとった時に合併されてしまって…戦後、墨田で新しくやろうってことになったんです。どうして墨田で硝子が盛んになったのかっていうと、やっぱり川があり、原料を運ぶために使う水路が多かったからじゃないかな?
井上墨田区はガラスの工場や職人さんが多く、原料の会社も沢山ありますよね。
村松やっぱり川沿いに工場が多いですよね!
仕事を通じて墨田区のいいところや発見したことはありますか?
井上やっぱりモノづくりに優しいかな?行政がすごく関心を持っているしサポートしているのは凄く感じます。
村松区役所の方々凄くフレンドリーですよね!一緒に飲みに行ったりしますしね。
井上岩澤村松(笑)
井上地域全体でモノづくりに誇りをもっているし、こんなに行政が近いのは無いと思うなぁ。工房を建てる時に近所のお店の方に色々教わってから区の方に行ったら話ができるようになりました(笑)
村松素敵なおせっかいな方が沢山いらっしゃいますよね(笑)
井上岩澤村松竹内・高田(爆笑)
村松私もお店を始めた頃、お客さんが来ない時期があり、その時に近所の革職人さんにワークショップやりな!等、アドバイスをいただきましたね!
岩澤僕は逆に行政が細かな企業まで行き届いてないのかなと感じるところもありますね。表面上に出ている会社はごく一部でしかないと思っていまして、探せばもっと面白い会社がたくさんあるのに、そういった会社は、すみだモダンや色々な活動を知らなかったりすると思うので・・・。
井上自転車で走ると面白い街ですよね。こんな所にこんな会社があるんだ!とかね!
岩澤そういった企業も含めて参加しやすくなる仕組みとかがあれば、もっとすみだをアピールできるので、もっと行政としても発信してほしいなと思います。
それぞれの共通点は?
岩澤硝子って作る側からしたら生き物なんで毎日ガラスを溶解していますが、その日によって硬さだったりガラスの出来具合が違ってくるので、日々勉強しながらやっていくことが大切かなと思いますね。一回できたからそれで大丈夫だってことじゃないので、、、
村松そこは量産ものとそのほかで違ってくる点ですよね。
井上硝子産業ってひとくくりにできなくて、例えば板ガラス産業は建築で欠かせなくなっているから産業として潤っているんですね。一方で僕らの業界のガラス屋さんっていうのは代わりになるようなものが世の中にあるのでなかなか厳しい業況になっていて、今後どういった方向で行くかを模索していかなければならないっていうのが共通点なのかなって思います。従来のやり方だけじゃダメなんだけど失くしてもいけない、そういったジレンマを抱えている中で模索する必要があるっていうかね、なかなか難しいな。
岩澤食器もそうですね。今、ガラス食器は贅沢品の部類になっていると思います。昔はもっと必要品だったものが、プラスチックなど他の素材の物がでてきて、今では必ずしも必要品ではなくなってきているので・・・
村松そこにどうやってこう価値をつけていくかですよね、うちも自分で彫ったっていう価値をつけることによってむしろ安いって言って買ってくれる人とかもいるので、、、
岩澤墨田区にしてもいろんなガラス工場が昔は50~100はあった工場にしても今では食器に関してだと2社しかないとおもいますし、ほかのところも入れたとしても5社も10社もないようなものなので、無くならないように付加価値をつけたりなどの、その構造を作っていかなければならないのかなと思いますね。
墨田区でのおすすめのお店はどこですか?
村松私、語りだすと止まらないよ?
井上岩澤村松竹内・高田(爆笑)
村松だからお先にお願いします(笑)
井上そうですね(笑)食べる所でいうと、うちの近くにある「北斎茶房」さんですかね。よく来たお客さんにすすめてますね。あとは、「ささやカフェ」さんですかね?
村松ささやさんは定休日が重なって行けてないのですが、いつか行きたいです!
竹内おすすめメニューとかはありますか?
井上んー、今の時期だとかき氷とか?人気店なので並びますけど、ランチとか甘味もおいしいですよ!
岩澤僕は「まち処」さんですかね?カフェなんですけど、かき氷の器をうちのガラス食器を使ってもらってまして…。隣にポケモンもいますのでね(笑)
井上ひがむこさんも紹介しとかないとね
村松あ!墨田と言ったら「東向島珈琲店」ですね
井上うちのお皿を使って、「抹茶のリオーレ」を食べることができるお店屋さんになってますね(笑)。
村松しかもすみだモダンにもなっていますよね!墨田のことをまず知りたいという方は「東向島珈琲店」さんに行くといいですよ(笑)
取材担当者より一言
ガラス産業について今まで触れる機会がありませんでした。今回のインタビューでそう言った機会をいただくことができて、とてもうれしく思います。
また、お話を聞いていくうちにもともと思っていたガラス産業に対してのイメージがより深くなっていきました。
きっとより調べ理解していくともっと面白い産業なんだと感じました。また、このことはどの産業にも当てはまると思います。
そう思うと墨田区は様々な企業がたくさんある街なのですごく面白い街なんだと思います!
取材担当:竹内香保里(高千穂大学)
取材担当者より一言
同じ硝子産業でも、下請での量産、工芸品など、生き残る方法が皆違っていることが印象的でした。
また、硝子製品の生産に、高度な技術、過酷な労働環境、莫大な設備投資、厳しい管理が必要なことを知り、会社の維持に高いハードルがある事を感じました。
取材担当:高田祐介(早稲田大学)
記事:竹内香保里(高千穂大学)
企業担当:高田祐介(早稲田大学)
取材:竹内香保里(高千穂大学)・高田祐介(早稲田大学)